2020年4月30日
2020年度補正予算案の成立について(談話)
社会民主党幹事長 吉田 忠智
1.本日、2020年度補正予算案が成立した。補正予算案は、現場の声や実態を受け止めておらず、内容・方向性・量的にも足りないうえ、”GoTo”キャンペーンのような感染拡大防止と医療崩壊を阻止し、給付や補償の充実を図るべき局面には不要なものも盛り込まれていた。そこで社民党はじめ野党は共同で、当面6月末頃までを視野に、一般会計総額30兆円を超える規模の組み替え案を提出した。組み替えは実らなかったが、問題の多い30万円の制限付き給付を一人一律10万円給付に変更させることができたこと、持続化給付金や自治体への臨時交付金、医療に関する包括交付金などは不十分だが早急に実施すべきものであることから、社民党としても補正予算案に賛成した。
2.特別定額給付金10万円は、受給権者が世帯主とされ、また住民基本台帳に記録されていない場合は対象外となってることから、本当に必要な立場の方へ届かない懸念がある。生活に困っている方への支援策としては不十分である。また、中小・小規模事業者等の持続化給付金や地方創生臨時交付金、雇用調整助成金、医療に関する緊急包括支援交付金などについても、金額や対象、条件などに課題は残っている。これらの点について、拡充や改善を図っていくよう引き続き求めていく。
3.この間、社民党はじめ野党は、国会審議や「新型コロナウイルス対策 政府・与野党連絡協議会」において、政府による感染拡大防止策や生活支援は不十分だとして、代替策を相次いで提案してきた。PCR検査についても、すでに3月3日、共同で検査拡充法案を提出している。今なお安倍首相は、「一日2万件への増加を行う」と繰り返すばかりだが、補正予算案で追加されるPCR関係の49億円は、1日あたり1500件分にすぎないし、PCR検査センターを整備する予算は1円もない。そもそも2月の段階で、2020年度本予算を組み替えていれば、ここまで遅くならなかったし、10万円給付も野党の主張を取り入れていればもっと早く実現できた。「国難」というのであれば、政府・与党は、野党の提言に真摯に耳を傾けるべきであり、私たちも必要な協力は惜しまない。
4.新型コロナウイルス感染拡大防止のための休業要請や外出自粛などで売り上げが減少し、家賃負担が重しになっている中小・小規模企業、個人事業主、NPOなどは少なくない。こうした事業者の家賃負担を支援するため、野党共同で「家賃支払い支援法案」を提出した。まず財政投融資を通じて政策公庫が肩代わりをして、支払猶予を行い、その後、政策公庫の求償権の行使について放棄も含め配慮する形でテナントの負担軽減をはかるとともに、大家が家賃を減額する場合には国が支援するハイブリッド型の支援を行うものである。中小企業等の家賃負担軽減の方向性で一致している与党に対し、早期の協議入りを強く求めたい。
5.アルバイト先の休業で収入がなくなったり、親の減収や失業で仕送りが減ったりして学費が払えず、自分は学生を続けられないとの悲鳴が上がっている。意欲のある有為な学生をしっかりと学ぶ機会を守らなければならない。持続化給付金の学生への活用などを提起してきたが、学費の減額免除、奨学金の適用拡大、アルバイトを失った学生など金銭的に困窮する大学生への支援、外国人留学生への支援などを求めるとともに、野党として法案作成作業を進める。
6.国民の命と健康を守るため、新型コロナウイルス感染症の拡大に対し、国民生活や雇用、事業をしっかり支え、早期収束に向けて感染拡大防止と医療崩壊阻止に全力を尽くす必要がある。社民党は、厳しい状況に置かれている皆さんの声をしっかりと受け止め、第二弾の生活給付金をはじめ事業主への家賃支援、困窮する学生への支援、医師や看護師等への危険手当の創設や医療機関の経営支援、文化芸術への支援などに向け、必要な制度改正や予備費の積極的な活用、第二次補正予算案の編成を求めていく。
以上
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