2020年3月27日
2020年度政府予算案の成立について(談話)
社会民主党幹事長 吉田 忠智
1.本日の参議院本会議で、2020年度政府予算案が可決し成立した。アベノミクスの「機動的財政出動」によって、過去最大・最高に水ぶくれとなった予算だが、消費増税依存と防衛費膨張、大企業優遇予算となり、暮らしの安心にほど遠く、「社会を底上げする予算」への転換を求める立場から反対した。 2.税収が63兆5130億円となり、バブル期を超えて過去最高というが、消費税収が基幹三税の中で最大の21兆7190億円となっており、消費税増税依存税制の極みである。所得税・法人税収の減収の見通しは、アベノミクスの失敗を示唆している。政府経済見通しを実質1・4%成長と楽観的に見込んでいるが、安倍政権の成長戦略自体の破綻を隠蔽するものにほかならない。 3.「安倍内閣発足以来、国債発行額を7年連続で縮減」と喧伝しているものの、新規公債発行の減や公債依存度の改善は、甘い税収見積もりと消費税収の平年度化への依存、税外収入のやりくりの増加、財投の活用でまかなった感が否めない。 4.社会保障費は、8年連続の増で過去最高を更新したが、大半は幼保無償化や高等教育の修学支援であり、概算要求段階で5353億円としていた高齢化や医療の高度化に伴う増加幅(自然増)は1200億円も圧縮され4111億円に抑えられた。公的年金の給付水準の引き下げ)や後期高齢者医療制度の窓口負担の2割負担の22年度導入なども予定されている。 5.一方、防衛費は、2019年度補正予算では一度の補正としては過去最大の4287億円、本予算案でも過去最大の5兆3133億円が計上されるなど、質・量ともに青天井で膨張する状況に歯止めがかからない。「専守防衛」の枠を越える防衛力整備は断じて容認できない。 6.沖縄振興予算は、概算要求から大幅に削減され、3年連続で同額の3010億円となり、しかも自由度の高い沖縄振興一括交付金は6年連続で減らされた。一方で、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設事業を含む米軍再編関係経費は、1937億円が計上されており、辺野古新基地建設に反対する県民の民意を無視して工事を強行する安倍政権の姿勢は許されない。 7.新型コロナウイルスの感染が拡大する中、本予算案を組み替えてでも緊急に必要となる経費をまかなうべきだった。感染症の危機から命を守り、経済の危機から事業を守り、生活の危機から国民を守るため、効果的な対策をスピーディーかつ大胆に講じるよう、政府・与野党協議会で強く求めていく。 8.新型コロナ対策に万全を期すためには、何よりも信頼するに値する政府の、信頼にたりうる政策が不可欠である。「桜を見る会」の疑惑やカジノ疑獄、菅原前経産相や河井前法相夫妻の公選法違反問題、自衛隊の中東派遣問題、新型コロナウイルス肺炎対策、東京高検検事長の定年延長問題、森友学園問題の再検証など、今後ともあらゆる機会をとらまえて安倍政権を徹底的に追及していく。
以上
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