2020年8月9日
長崎の原爆の日から75年を迎えて(談話)
社会民主党幹事長 吉田忠智
1.本日、長崎は原爆投下から75回目の原爆の日を迎えました。75年前の8月9日、プルトニウム型原子爆弾によって、長崎は壊滅的な被害を受け、多くの尊い人命が奪われました。75年たっても、怒りと悲しみは消せるものではありません。すべての犠牲者の皆様に哀悼の誠を捧げるとともに、残されたご遺族の方々、そして今もなお健康被害などに苦しまれている皆様に、心よりお見舞いを申し上げます。核兵器による惨禍を再び起こしてはなりません。社民党は、核廃絶と恒久平和の実現に全力を挙げることを改めて誓います。
2.2019年8月、中距離核戦力(INF)廃棄条約が失効し、来年2月には新戦略兵器削減条約(新START)も期限切れを迎えます。今年発効からちょうど50年を迎えた核不拡散条約(NPT)の再検討会議は、1年延期されました。18年8月9日に長崎市の平和祈念式典に国連トップとして初めて参加したグテーレス事務総長は、「核廃絶は国連の最優先課題。長崎から全ての国に、目に見える進展を求める。保有国には特別な責任がある」、「長崎を核の惨禍で苦しんだ地球上最後の場所にしよう」などと訴えました。すべての核保有国は、核兵器をなくすことを約束し、その義務を負った条約の意味をもう一度想起すべきです。
3.安倍首相は、今年もまた、平和記念式典で、核兵器を法的に禁止する核兵器禁止条約について言及しませんでした。被爆者の思いを踏みにじるものであり、心から憤りを覚えます。唯一の戦争被爆国・日本こそ、アメリカの「核の傘」や核抑止力への依存に固執するのではなく、75年にわたって核廃絶を訴えてきた被爆者や世界中の核廃絶を願う人々の思いを誠実に受け止めなければなりません。日本が核兵器禁止条約の締約国となることはもとより、各国に働きかけ、条約の発効に全力を尽くすとともに、核使用禁止の国際的機運を高め、核のない世界を目指し、積極的にリーダーシップを発揮していくよう求めます。
4.「ノーモア・ヒロシマ、ノーモア・ナガサキ」と叫び続けてきた被爆者の皆さんこそ、「生きた平和アピール」であり、核戦争の最大の抑止力です。被爆者の高齢化が進み、人数が減る中で、体験の記憶を後世に伝える、「被爆の継承」や、残された被爆者援護課題の前進・解決を急がねばなりません。「黒い雨」訴訟で広島地裁は、7月29日、原告の訴えを全面的に認める初の司法判断を下しました。控訴断念と早期救済に向けた政治判断を強く求めます。
5.本年は新型コロナウイルスの影響で、長崎の平和記念式典も規模を縮小し参列者の数も減らされました。各地の慰霊・式典も多くの皆様が参加が難しい状況です。そうした中、将来の世界平和を担う若者たちをはじめ、様々な創意工夫をこらした取り組みが始まっています。75年という節目の年に、社民党は、「生きているうちに核兵器の廃絶の道筋を作ってほしい」という被爆者の願いに寄り添い、核兵器廃絶と恒久平和の実現に全力で取り組むことを改めてお誓いします。
以上
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