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菅義偉新政権の発足にあたって(談話)

2020年9月16日


菅義偉新政権の発足にあたって(談話)


社会民主党幹事長 吉田忠智


1.本日、第202回臨時国会が召集され、衆参本会議で首班指名選挙が行われた。社民党は、共同会派をくむ立憲民主党の枝野幸男代表に投じたが、自民党の菅義偉総裁が第99代内閣総理大臣に指名された。菅新首相のめざす国づくりの方向性、新型コロナ対策や雇用・経済政策など、国会で議論すべき課題は山積している。社民党はじめ野党の憲法に基づく臨時国会の開会要求を安倍首相は無視し続けてきたが、ようやく国会を開いたのであるから、3日間で閉じるのではなく、所信表明演説を行い、予算委員会も開く日程を確保するなど、論戦の機会を設けるべきである。


2.一方、歴代史上最長となった安倍政権が本日総辞職した。「志半ば」というように、国民にとって何のレガシーも残せなかった。世論に耳を傾けず、違憲の「戦争法」を強行するなど「戦争する国」づくりを進めるとともに、財界のための「世界で一番企業が活躍しやすい国」づくりをめざしてきた。憲法や国会をないがしろにし、アベノミクスは行き詰まり、北方領土問題や拉致問題の解決もできなかった。政治の私物化や数々の疑惑について、何の説明責任も果たさず、退場したことは許されない。官房長官として首相を補佐した菅首相は、森友や加計問題や桜を見る会問題、黒川検事長問題をはじめ、安倍政権のもたらした公文書廃棄や改ざん、隠蔽、虚偽答弁、政治の私物化について、説明を尽くさなければならない。側近として知られた河井克行前法相夫妻や菅原一秀前経済産業相の不祥事についても、政治的責任は免れない。秋元司衆院議員が3度も逮捕されたが、安倍政権の「目玉」としてIR構想を推進してきたのは菅首相である。安倍政権の「負の遺産」に誠実に答えるべきである。


3.菅首相は、目指す社会像として、「自助・共助・公助、そして絆」を掲げ、「まずは、自分でできることは自分でやってみる」などと語り、「役所の縦割り、既得権益、あしき前例主義を打破して規制改革を進めていく」と強調する。自助の偏重は、弱者の置き去りにつながり、新自由主義的な構造改革の推進は、大企業の利益を優先し、格差や貧困を拡大するだけでなく、危機への社会の対応力を低下させる。また、内閣人事局に問題は無い」、「反対する官僚は異動だ」と言い切るが、官僚への統制や「忖度」の風潮が助長され、マスコミ支配もさらに強まる恐れがある。安倍政権下では対米追従外交が極まり、日ロ外交やアジア外交は行き詰まりを見せている。しかし、菅首相からは外交のビジョンが感じられない。消費税増税を巡る発言がぶれ、「自衛隊が憲法で否定されている」と発言したり、憲法改正についても「政府として環境をつくりたい、挑戦したい」と発言したりするなど、首相としての資質が問われる場面もある。


4.「国民のために『働く内閣』をつくる」というが、これまでの内閣は国民のために働いていなかったのか。菅新内閣は、麻生副総理兼財務大臣、茂木外務大臣、梶山経済産業大臣、小泉環境大臣、新型コロナ担当の西村経済再生大臣ら8人が再任されたうえ、2人が横滑りとなり、上川元法務大臣と田村元厚労大臣、小此木元国家公安委員長が同じポストで再登板となった。目玉の「デジタル庁」の創設に向け、デジタル担当大臣となる平井元IT担当大臣も再入閣である。官房長官には、新型コロナの初期対応で事実上落第点をつけられた加藤厚労大臣が起用された。初入閣は、安倍前首相の実弟の岸防衛大臣ら5人である。「回転ドア」のように、新味に乏しいものとなった。加計問題で登場し、不倫出張疑惑が追及された和泉補佐官も再任となる。閣僚らの資質や実績について徹底的に追及していく。

5.安倍政権の継承・発展を明言する菅新政権は、「安倍なき安倍政権」にほかならない。社民党は、暴走するアベ政治の検証や総括を行うとともに、安倍政権の「負の遺産」を解消するよう求める立場から、今後、菅首相に対し、徹底的な国会論戦に挑むとともに、「安倍なき安倍政権」を打倒し、政権交代を実現するための態勢づくりを急ぐ。


以上




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