2020年12月11日
自衛隊中東派遣延長の閣議決定に断固抗議する(談話)
社会民主党幹事長 吉田忠智
1.菅政権は本日、自衛隊の中東派遣を1年間延長することを閣議決定した。自衛隊の海外派遣の延長が、国会の審議もないまま、安易に閣議決定で行われるのは、国会軽視・国民無視の姿勢そのものであり、断じて許されない。社民党は、明確な必要性も緊急性もなく、法的根拠にも問題の残るまま、なし崩し的に海上自衛隊の海外派遣を延長する今回の自衛隊中東派遣の延長決定に断固抗議する。閣議決定の撤回と、自衛隊の撤収を強く求める。
2.今回も防衛省設置法の「所掌事務の遂行に必要な調査および研究を行う」との規定を派遣する根拠としているが、国民を代表する国権の最高機関たる国会の意思によって自衛隊を運用するのが文民統制であり、自衛隊の海外派遣には本来、国会の承認が求められる。参議院の「自衛隊の海外出動を為さざることに関する決議」違反である。
3.日本が収集した情報をアメリカや「有志連合」に提供する形で「貢献」することになれば、イランを刺激することになる。現地の状況、派遣目的、効果、行動の妥当性、収集した情報とその活用方法などについて、検証がなされなければならない。緊急時の武器使用の判断基準や、不測の事態が生じた際の部隊行動基準も公表されなければならない。
4.来年には、イラン核合意から離脱を一方的に表明し、イラン制裁を始め、中東での緊張を招いた米トランプ政権から、「イランが核合意を厳格に順守するならば、米国は核合意に復帰し、交渉を始める」と表明しているバイデン政権への交代が行われる。米国が核合意に復帰し、イランとの関係が改善の方向に向かうとするならば、一触即発の事態となったホルムズ海峡の緊張も緩和に向かうことも予想される。
5.平和憲法を有する日本は、中東諸国との関係を大事にし、独自外交で各国との友好関係を維持してきた。日本は仲介役として、アメリカの政権交代に伴う情勢変化を後押しし、対話による平和解決に全力をあげるべきである。
以上
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