2020年4月7日
緊急事態宣言の発出について(談話)
社会民主党幹事長 吉田忠智
1.本日、安倍首相は、東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県に対し、5月6日までを期限として、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言を発出した。新型コロナウイルスの感染を収束させることができず、人と人との接触を極力減らし、医療体制を整えるため、緊急事態宣言を出さざるを得ない事態に至ったことは残念であり、改めて厳粛に受け止める。初動の遅れをはじめ、この間の政府の対策が、後手後手で不十分だったことも影響しており、その対応は厳しく検証されなければならない。
2.緊急事態宣言の発出に当たって、衆参の議院運営委員会に事前に報告され、質疑が行われた。安倍首相は、「国家や国民がどのような役割を果たして国難を乗り越えていくべきかを、憲法にどのように位置付けるかは、極めて重く大切な課題だ」と述べたが、緊急事態宣言を改憲の露払いとすることは断じて許されない。政府が万全を期すべきは、感染拡大の防止と収束であり、安倍首相に猛省を強く促したい。緊急事態宣言は、私権制限を伴い、国民生活や経済活動に大きな影響を与えるものであり、国会の監視機能の強化がより要請されている。改めて集中審議の実施を求めていく。
3.緊急事態宣言に基づく総合調整や緊急事態措置の実施にあたっては、特別措置法第5条及び附帯決議を遵守し、国民の自由と権利の制限は必要最小限のものとし、私権を過剰に制限することのないよう強く求める。あわせて、懸念される医療崩壊を防ぐためにも、医療機関や保健所、医療従事者への支援、検査実施の拡充、万全な治療体制の整備・確立に全力をあげるべきである。
4.感染症のみならず、法律や経済、教育・福祉・社会保障など専門家の意見を踏まえ、科学的根拠に基づいた新型コロナ対策が求められている。不必要な混乱を避け、国民が冷静で的確な行動がとれるよう、政府及び自治体は相互に連携し、科学的見地から正確で必要十分な情報発信を適時・適切に行うとともに、周知徹底をはかる必要がある。また、後の検証に資するため、プロセスの透明性確保や記録の保存も重要である。
5.ひとりひとりが自らの生命と健康を守るため、自主的・主体的に判断して行動することが求められている。科学的根拠に基づいたウイルス感染の正確な知識と情報の提供、自粛や使用制限を求める政府や自治体への信頼が重要である。なによりも、生活や事業への補償がないままの大規模な行動制約によって、不安が激増し、多くの生活困窮者を生み出しかねない。感染拡大を防ぐためにも、外出自粛や休業には十分な補償がセットでなければならない。
6.感染症やその対策が、弱い立場の方へしわ寄せされたり、分断や差別につながったりすることがあってはならない。たとえば、外出の自粛や在宅勤務が呼びかけられる中、家庭でのストレスによるDVや児童虐待の増加を懸念する声が上がっている。国連のグテーレス事務総長も緊急の声明で、「経済的社会的な圧力が強まるにつれて、女性に対する家庭内暴力が世界中で恐ろしいほど急増している」と警告し、感染対策を実行する際に、女性に対する暴力の防止に重点的に取り組むよう求めている。相談窓口を閉めないことや、被害者の一時保護を柔軟に行える体制を整えることなど、DVや児童虐待への対応を強化する必要がある。
7.新型コロナウイルスの拡大は、これまでの政治、経済、社会のひずみや問題も明らかにしている。社民党は、厳しい状況に置かれているすべての皆さんの声をしっかりと受け止め、政府に対し必要な対応の実現を強く求めるとともに、感染拡大の防止と収束に向け、ただすべきはただし、協力すべきは協力する立場で全力をあげる。
以上
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