2020年5月25日
緊急事態宣言の全面解除について(談話)
社会民主党幹事長 吉田忠智
1.政府は本日、首都圏4都県と北海道について、新型コロナウイルス特措法に基づく緊急事態宣言を前倒しして解除することを決定した。4月7日に7都府県に発出され、16日に全国へ拡大された緊急事態宣言は、5月31日まで延長されていたが、14日及び21日の一部解除を経て、1か月半ぶりに全面解除となった。感染拡大や医療崩壊を防ぐために、多くの国民・事業者が休業や外出自粛などに真摯に取り組んだ結果であり、私権制限は謙抑的であるべきことから、緊急事態宣言の解除自体は歓迎する。
2.本日解除されたすべての都道県で、解除の目安の「直近1週間の10万人当たりの新規感染者が0.5人以下」を満たしているわけではなく、医療提供体制やモニタリング体制を含め専門家の意見を聞いた上での総合的判断とされる。しかし、諸外国では解除後にぶり返している例も多い。政府側は、「感染者数が落ち着いている今しか、全面解除のタイミングがない」ともいうが、再び感染者が拡大傾向となっている地域もあり、31日の期限まで、もう少し様子を見る選択もあったのではないか。なぜ判断したのが、前回の解除から1週間後の28日ではなかったのか。解除ありきで判断が甘かったのではないか。支持率の急落に慌てての解除ではないのか。宣言の全面解除の根拠も含め、こうした疑問に対し、説明を尽くすとともに、今後の対応に万全を期す必要がある。
3.緊急事態宣言は解除されたが、安全宣言や終息宣言ではない。新型コロナウイルスが消滅したり、有効なワクチンや治療薬で対応できるようになったりしたわけではない。第2波、第3波への備えを強固にするためにも、緊急事態宣言の発出・解除の基準の妥当性、発出・解除の時期、宣言の必要性と内容、効果、政府及び自治体の対応、再宣言の判断や基準の根拠、専門家会議やクラスター班の取り組み等について、問題点を洗い出し、国民へしっかりと説明責任を果たさなければならない。国会審議はもとより、第三者機関の設置を含め、科学的な検証・総括を真摯に行う必要がある。
4.検査体制の充実を早急に実現し、感染の実態をしっかりと把握できるようにしなければならない。また、防護服等必要な資材の供給や備蓄、ワクチンや治療薬の開発促進、医療スタッフの十分な休養、医療機関の経営支援など、万全な医療体制を確立し、再び感染拡大局面を迎えたとしても冷静に対処できる仕組みを整えるべきである。
5.間隔を開ける等の「新しい生活様式」も、個人の努力だけでは進まないし、それぞれの事業ごとの対応に影響する。感染拡大リスクを防止し、第2波、第3波へ備えるためにも、一定の自粛・自制、休業も続けざるを得ず、公的な支援や補償は不可欠である。実情に応じて取り組みを柔軟に見直し、必要な対策を追加することが欠かせない。
6.すでに新型コロナウイルス感染症の影響で、解雇や雇い止めが見込まれる労働者が1万835人になり、日を追うごとに増加している。来年半ばまでに約100万人の雇用が失われるとの民間エコノミストの試算もある。このまま景気が悪化し続ければ、生活が困窮し、自殺者が増える可能性も高い。経済によって失われる命も救わなければならない。政府・与党に対し、社民党はじめ野党が求めている内容を大胆に盛り込み、早急に強力な第二次補正予算を編成し、感染拡大防止や医療提供体制の整備とともに、きめ細やかかつ大胆な、雇用、生活、経済活動支援をはかるよう、強く求める。社民党は、引き続き、共同会派合同対策本部、与野党連絡協議会などの場や、社民党国会議員の本会議・委員会の質問の機会をいかすとともに、自治体議員や都道府県連合と連携した取り組みを強化し、国民の命と健康、くらしを守るため、全力をあげる。
以上
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