2021年5月3日
社会民主党 党首 福島みずほ
昨年に引き続き、コロナ禍のもとで憲法記念日を迎えました。医療崩壊が各地で発生し、助かる命が奪われるという悲惨な事態が相次いでいます。憲法25条は「生存権、国の社会的使命」として「1 すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」「2 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」と規定しています。
新型コロナウイルスの本格的な感染拡大から1年余りが経過しました。PCR検査にしろワクチン接種にしろ、先進国といわれる国々のなかで最低のランクにある日本の現状は、憲法が求める「国の社会的使命」を果たしていると到底いえません。こうした深刻な状況にありながら、政府はさらに公立病院や保健所の統廃合を進めようとしています。 それだけではありません。自民党の一部からはコロナ禍に対する「緊急事態宣言」では法的強制に制約があるとして、それをを可能にする「緊急事態条項」導入の改憲論と結びつける主張まで飛び出しています。
コロナに対して武力は無力でした。しかし、集団的自衛権の行使を可能にした安全保障関連法の施行から5年が経過し、政府は防衛費を毎年膨張させてきました。護衛艦の空母化への改修や敵基地攻撃に転用可能な兵器の購入など、「専守防衛」の理念はなし崩しに放棄されようとしています。4月の日米首脳会談では、中国政府を非難したうえで台湾を明記して「日米同盟の強化」を進めるとする共同声明を発表しました。中国政府による香港や新彊ウイグル自治区などでの人権侵害は許すことはできませんが、今回の声明はアジアに緊張を高め、沖縄を再び戦場としかねないものであり、強く反対します。
安倍政権が退陣し、新型コロナウイルスの感染が深刻ななかでも政府・与党は改憲に向けた動きを執拗に追求しています。4月15日に続いて同22日にも衆議院憲法審査会が開かれました。与党などは憲法改正に際しての国民投票などについての手続法改正案の採決を主張しています。世論調査で「憲法改正」を求める国民の声は常に少数です。いま政治が全力を上げなければならないのはコロナ禍への対処であることは明らかです。
憲法や国民の声を無視する菅政権を秋までに実施される総選挙で退陣に追い込もうではありませんか。憲法施行から74周年にあたり、社民党は改めて平和憲法の擁護と憲法を暮らしに生かす政治を実現することを決意します。
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